環境に優しいとされている電気自動車ですが、軽自動車サイズの電気自動車を見かけることは少ないでしょう。
ガソリン車で走る軽自動車と軽サイズの電気自動車ではどちらが良いのでしょうか。
この記事では、軽の電気自動車とガソリン車の軽自動車を比較します。
日本自動車メーカーによる軽のEV発売状況
日本の自動車メーカーの多くは軽自動車の販売に積極的です。
長きに渡って軽自動車の販売をしてこなかったトヨタも、ダイハツとのタッグにより軽自動車業界に参入するようになりました。
日産やホンダも軽自動車の販売に力を入れ、次々と最新の軽自動車を生み出しています。
軽自動車は価格の安さと燃費のよさ、運転のしやすさから、日本では高い人気を誇る車です。
しかしながら、電気自動車になると軽のサイズを見かけることが少ないことに気が付くでしょう。
軽の電気自動車を販売しているのは2020年8月時点で三菱自動車の1社です。
2020年には日産も軽の電気自動車を販売するといわれていますが、なぜ、軽の電気自動車は少ないのでしょうか。
現在販売されている電気自動車にはどのような特徴があるのか知っておくのもおすすめです。
そこで、日本の自動車メーカーが手掛ける軽の電気自動車について説明しましょう。
【三菱自動車】ミニキャブミーブ
三菱自動車は早くから軽の電気自動車に力を入れてきました。
三菱自動車が初めて軽規格の電気自動車として発売したのはアイミーブです。
このアイミーブの商用版として販売されたワゴン型の電気自動車はミニキャブミーブと呼ばれます。
ミニキャブミーブは郵便局の配送車などとして活躍しているのが特徴で、使い勝手の良さが高く評価されているといえるでしょう。
また、商用でありながらも高いデザイン性を持つ点も人気の理由です。
これまで、商用の軽トラックやバンなどは実用性は高いものの、シンプルすぎるデザインが問題とされてきました。
しかし、ミニキャブミーブはシートなどの内装にもこだわり、オシャレな外観を持っていることから、かっこよく乗りこなせると評判です。
さらに、給電機能もつけられているので、アウトドアでも十分に楽しめる電気自動車だといえるでしょう。
給電機能を使うと、エレキギターや電子ピアノの演奏も可能で、路上でのコンサートも楽しめます。
災害時にも非常用電源として活用できることから、注目が集められている1台です。
車両価格 | 1,801,800~2,190,100円 |
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サイズ | 全長×全幅×全高(mm): 3395×1475×1915 |
航続距離 | 100km/150km |
【三菱自動車】アイ・ミーブ(※2018年以降は普通車)
国内で初めてとなる軽タイプの電気自動車が三菱自動車のアイ・ミーブです。
三菱自動車では、電気自動車の開発に欠かせないバッテリーの性能を向上させるため、大容量で高性能なリチウムイオン電池の製造に力を注いできました。
高性能なリチウムイオン電池の開発に向け、GSユアサコ−ポレ−ション、三菱商事、三菱自動車の3社が協力し、新会社も設立されたほどです。
その結果、アイ・ミーブは総電圧330Vで総電力量は16kWhを実現しています。
1回の充電で約160kmの走行が可能で、最高速度は130km/hを可能にしたのです。
車両本体価格はガソリンを使う軽自動車と比較すると高くなりますが、夜間に充電をすると電費を安く抑えることができるでしょう。
ガソリン車と比較しても静粛性が非常に高いため、三菱自動車のアイ・ミーブを選ぶ人も多くみられます。
ただし、2018年に改良が行われて新型となったアイ・ミーブは、小型自動車として登録されるようになったのです。
これは、道路運送車両の保安基準の改正によって行われたものであり、フロントバーンの形状が変更されたことで軽自動車の規格には収まらなくなりました。
しかしながら、それまでに発売されたアイ・ミーブは軽自動車として扱われていることから、中古車として見つけることも可能でしょう。
軽自動車としての手軽さから三菱アイ・ミーブを求める人は多く、中古市場では良い価格で取引されている人気の1台だといえます。
車両価格 | 3,003,000円 |
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サイズ | 全長×全幅×全高(mm): 3480×1475×1610 |
航続距離 | 164km |
【日産】デイズ(2020年以降発売予定?)
2019年の東京モーターショーでEVのコンセプトカーとして出品された日産のデイズ。
日産が新しく開発をしたEVプラットフォームを搭載したデイズは、2020年以降の発売が予定されています。
デイズは、日産初の軽自動車サイズの電気自動車ですが、現行のガソリン車のデイズと車体骨格の一部やボディパネルなどが共有されると考えられています。
しかし、日産の誇る運転支援技術であるプロパイロット2.0を進化させた次世代の運転支援技術が搭載される予定など、最先端の技術が楽しめるのが魅力でしょう。
また、スマホと連携させることでドライバーを認識し、シートポジションなどをここに設定できるシステムも搭載される予定です。
そのほかにも、ドライバーが乗り込む前にエアコンをオンにすることも可能で、快適性能も向上されるといわれています。
日産はリーフの販売によって量産型の電気自動車の開発に成功した自動車メーカーです。
国内の電気自動車市場をリードしていることから、高い技術力が期待できるでしょう。
これまで、日産ブランドの軽自動車は存在したものの、スズキや三菱によって供給されてきました。
しかしながら、デイズは日産ブランドの軽自動車として初めての自社開発が行われた車です。
日産がゼロから商品企画や技術開発に関わった軽自動車ですので、日産の思い入れが十分に詰まっているのも、デイズの魅力だといえます。
車両価格 | 2,800,000~円 |
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サイズ | 全長×全幅×全高(mm): 3395×1475×1640 |
航続距離 | 220km |
軽の電気自動車が普及しない理由
街では普通自動車サイズの電気自動車を見かけることが多いものの、軽の電気自動車はそれほど見かけることがないでしょう。
三菱や日産は軽のev車の販売を進めていますが、軽を得意としているダイハツやスズキ、ホンダからは電気自動車が販売されていません。
さらに、国内の自動車メーカー大手ともいえるトヨタでも軽のev車の開発は進められていないのが現状です。
三菱と日産の2社に絞り込まれている軽の電気自動車ですが、なぜ、それほどまでに普及しないのでしょうか。
ガソリン車と比較しながら、軽のEVが広まらない理由に迫ります。
価格面での条件が難しい
軽の電気自動車の最大の問題となるのが価格です。
ガソリン車の軽自動車でも、性能の高さや広い車内空間の実現から、コンパクトカーと変わらない価格で販売されるようになりました。
しかし、電気自動車となるとその価格は跳ね上がります。
EV車の普及に向け、政府は電気自動車を購入する際の補助金制度を導入していますが、それでもその価格の差は埋められないといえるでしょう。
軽自動車を購入するメリットとして価格の安さを挙げる人も少なくないことから、電気自動車は価格の面において圧倒的に不利な状況に立たされているのです。
ガソリンでも軽自動車は燃費が良い
電気自動車の魅力に維持費の安さを挙げる人もいるでしょう。
EV車は電気を使って走る車ですので、ガソリンを使用しません。
電気はガソリンよりも安いことから、ガソリン車と比較すると月々にかかる費用が抑えられるのが魅力です。
しかしながら、軽自動車の場合にはガソリンを使っても燃費が良いといえるでしょう。
ダイハツのミライースでは、JC08モード32.2km/Lという燃費です。
三菱のekスペースでもJC08モード22.2km/L、ホンダのN-WGNでJC08モード29.4km/Lですので、走行距離が長くてもそれほどまでにガソリン代がかからないといえるでしょう。
三菱の電気自動車であるミニキャブミーブは、電気代がかからなくとも車両価格が高いため、ガソリンなどの維持費を考えてもその差は大きいのが現状です。
自動車税をはじめとした車にかかる税金に関する優遇措置も受けられますが、それでも、軽自動車の維持費の安さを選ぶ人が多くみられます。
そのような理由から、軽の電気自動車は苦戦を強いられているといえるでしょう。
充電設備の普及遅れ
国内で初めてのEV車として日産のリーフが発売されたのは2010年のことでした。
日産リーフの発売当初は充電設備が少なく、充電ステーションの増設を求める声が多く聞かれたといえるでしょう。
その後、10年の歳月を経て電気自動車が一般的となり、充電ステーションも増えてきています。
また、電気自動車の航続距離が伸ばされ、1回の充電で走行が可能な距離も長くなったといえるでしょう。
しかしながら、充電ステーションはガソリンスタンドよりも少ないのが現状で、出先で充電ができないという問題があちこちで聞かれます。
そのため、長距離のドライブの場合には充電への不安を感じる人も多いのではないのでしょうか。
充電ステーション増設は見込まれていますが、現時点では充電設備が充実していないことから、軽のEV車の導入に二の足を踏む人が少なくありません。
中古車としての価値が低い
新車として購入すると価格が高いEV車ですが、中古市場では安い価格で販売されています。
そのため、高い値段での売却は期待できないといえるでしょう。
年式が新しい車でも、驚くほど安い値段で買取られることも多く、数年での乗り換えを考える場合には損をしてしまうこともあります。
電気自動車が中古車としての価値が低くなる理由の1つに、バッテリーの経年劣化が挙げられるでしょう。
電気自動車に使われるバッテリーは数年で交換しなければならず、バッテリーの交換にも費用がかかりますので、中古車としての高い価格が保証されないのです。
まとめ
軽の電気自動車として販売されているのは非常に限られた種類です。
2020年には日産のデイズが軽の電気自動車として発売される予定ですが、ガソリン車と比較するとメリットが少ないといえます。
しかしながら、軽の電気自動車が環境に優しいというのは言うまでもありません。
今後、充電ステーションなどが増設され、価格が下がるようになると軽の電気自動車の波は押し寄せると考えられるでしょう。